ツーリングよもやま話 その2
バイクの話や海外・国内ツーリングでの私の体験・経験・珍談のページです。
1.革ジャンを値切った話
カナダでの最終日、一人でバンクーバーの中心街を歩き目的の皮専門店を探す。
ツーリング中に幾つかの土産物店で皮ジャンを探したが気に入った物がなく
バンクーバーなら良い物があるだろうと言われ歩き回った。
中心街近くにようやく目的の店を見つけ外からしばらく店内を覗いた後に意を決して
中に入る。大柄な店主(男性)がにっこりと笑って挨拶をしてくれる、そこで私は一言
「I CANNOT SPEAK ENGLSH …… I WANT TO コレ !」と
皮ジャン類を指さす。「……Chinese?」…「ノー ジャパニーズ」から始まり以下は
身振り手振り、流暢な英語対知っている限りの単語の羅列から判断した問答。
「カナダに観光に来たのか」、「イエス、モーターバイクツーリング」、「どこを回ったのか」、
「バンクーバー…・バンフ……バンクーバー」、「カナダはどうだったか」、「ベリーグッド、
ビューティー、ワンダフル」、その他はほとんど何を言ってるのか分からなかった。
その後、色々な品物を出してくれて着てみたが小柄な私にとってはMサイズでは
ちょっと大きいしSサイズでは小さすぎた。補正は帰ってすることにして気に入った
品物の値下げ交渉に入った。価格は1000ドルだったが私は500ドルを主張して
平行線、自分でも無理だと分かっていたが相手は途中で別の物を持ってきて
コレなら500ドルで良いと言うが(この辺りはノーと言うのと、指を折り曲げて価格を
示すだけ)私は最初の品物に拘る。結局、折り合いが付かないので相手の750ドル
に対して650ドル+TAX(消費税)を示し「アイ ウオント トゥー カナダズ レーザー……
マイ ライフズ ベスト メモリー…・・イン カナダ」(本当に言いたかったのはカナダの
高級な革ジャンが欲しかった、コレをカナダ旅行と人生の最大の想い出にしたい)。
30分以上に渡る珍妙な駆け引きが終わり握手をして650ドルで決定した。
お金を払って店を出るときに店主がニコニコ笑いながら飾りの付いた革ジャンを
持ってきて「あなたのワイフへのお土産に、これはどうだ、買わないか」と言われたのが
妙に印象に残っている。
それにしても俄か憶えの単語を並べただけで30分以上も粘った自分にビックリして
いるのが本音である。
後日談:私の住んでいる田舎町ではどこに行っても補正が出来ないと断られ結局は
ある革製品の店で手首にホックをつけて一部補正だけしましたがそこの主人から
これはトルコ製で久しぶりに上等な革製品を見ましたと言われました。
2.馬にバッグを食いちぎられた!
阿蘇外輪山の中坂峠を友人とオフ車2台で越えたときの事でした。
高森から落石の多い道を上り峠を越すと牧草地に入ります。道路は町道ですが
途中には牛や馬が放牧されているために道路に何ヶ所か柵があり、通行する
人や車は柵を自分達で開閉しながら進みます。
牧草地の緑の中の一本道を気持ちよく走り、ある地点に差し掛かった時、前方の
道路上に馬が二頭、こちらを向いて立っていました。私達は50m位手前で一度
止まり、ゆっくりと進みました。普通ならこの辺りで牛や馬は横の牧草地に入って
行くのですが今回は一頭は避けるように牧草地に入りましたが、残った一頭は
ゆっくりとこちらに向かって来ます。友人は距離を空けていたので後で止まって
様子を見ていますが私はUターンするには道路が狭すぎるので取り敢えず
左端に止めました。
ところが馬はバイクの方に向かって来るので私はスタンドを立てバイクを降りて
逃げました。バイクの荷台に革製のバッグを積んでいたのですが馬はそれに
噛みついて食いちぎろうとしているのです。バッグは固定していたために外れる
恐れはなかったのですが、このままではバイクが倒れると思いバイクに駆け戻り
片手でバイクを支えて片手で馬の首付近を必死で叩きました。
時間がどれくらい経ったか分かりませんでしたがようやく馬が離れました。
バッグは一部が壊れましたが、この時ほど馬の顔が大きく見え、怖さを感じた事は
ありませんでした。
離れて行った馬は再び二頭、一緒に道路の真ん中に立っています。車やバイクには
慣れているのか離れた所でエンジンを吹かしたりクラクションを鳴らしても悠然と
しています。友人と話をしてしばらく待ちましたが動かないので馬の横をすり抜けよう
という事になりゆっくりと前進をしました。
馬はこちらを見ていますが動かないので思い切って道路を外れて牧草地に入り
突っ切ってやっとの事で通過することが出来ました。今となっては笑い話です。
3.動物の話ー1
九州山地をオフロード車で走ると色々な動物に出会います。
今まで鹿、猪、ウサギ、タヌキ、キツネ、イタチ、キジ、山鳥などたくさんの
動物を見ましたが都会に住む人達からすれば信じられないような話かも
しれません。
鹿は林道の横からいきなり飛び出して見事なジャンプで茂みに飛び込んで
行く場合と、道路端に立っていて暫くこちらを見ていてある距離まで近づくと
私と同じ方向に走り、ある程度走った所で、これも見事なジャンプで横の
斜面に飛び込んで行きます。鹿が尻の左右の白い部分を揺らしながら
走るのが印象的です。
イノシシには一度だけ恐い思い出があります。国道388号は九州山脈を
越える時は標高1100mの大河内峠を越えますが交通量の少ない狭い
道路です。峠の頂上付近の緩やかなカーブを曲がった途端、前方に
黒い物体、瞬間的に黒豚がいる(本当にそう思いました)、急ブレーキを
踏み止まってよく見るとイノシシでした。
イノシシは道路中央付近に立ってじっとこちらを見ています。車であれば
何という事はないのですが、こちらは剥き出しのバイクであり向かって
来られたらひとたまりもない、恐いと言う思いが沸きあがって来る中で
道路幅からしてUターン可能、いざという時は逃げられる?追いつかれる?
このまま突っ込んだら?避けられない?ライトの点滅やクラクションに
反応するか?……頭の中を考えがグルグル回ります。
最終的には逃げようとなりイチかバチかのアクセルターン……!
長くやったことがなかったので完全ではなかったが何とかバイクの向きが
変わり後を見ると、この下手くそなアクセルターンの音に驚いたのか
イノシシは尾根に上がって行くところでした。
その後もう一度Uターンをして猛烈なスピードでその場を立ち去ったのは
言うまでもありません。
4.動物の話ー2
私は蛇は大嫌いですが今日は蛇の話です。
林道を走りながら小さな谷川を見つけ、そこで休憩をしようと思いバイクを
止め、草むらを歩いて谷川に降りようとしました。
ふと見ると草むらの中に柄物のハンカチかタオルが落ちているようです。
何気なく近づいた瞬間、それがシュッと動き木片が立ったように見えましたが
よく見るとマムシでした。オフロード用のブーツを履きグローブも付けていたし
飛び掛かられても大丈夫な状態でしたが蛇嫌いの私としては非常に驚いた
瞬間でした。マムシの柄は小判みたいな物と聞いたことがありますがトグロ
を巻いているのは初めて見たし鎌首を持ち上げる瞬間を見たのも初めて
でした。
ムラワタリと言う蛇を見たことがあります。
大きな蛇で青大将に似ていますが正式な名前は知りません。全長が2m位
ある蛇で村と村をつなぐほど大きいのでムラワタリと言うそうです。
林道を走り終えて山間部の集落に入る手前で走っていると道路脇の斜面から
何かが落ちて草むらがガサガサしています。
バイクを降りて引き返して見ると二匹の大きな蛇が絡み合っていました。
同行者がすかさず「ムラワタリだ」と叫びこれは蛇が交尾していると教えて
くれました。私は気持ちが悪いので少し離れて見ていましたが同行者が
棒でつつくと二匹は絡みあったまま茂みの中に消えました。
動物園以外であんな大きな蛇を見たのは初めて、交尾しているのも初めて
でしたが、山中で谷川の水を飲みに行ったり草花を見に言ったりするにも
注意をしなければと思った次第です。
5.気温差30度の体験
カナディアンロッキーツーリング最終日はペンティクトンからバンクーバー
までの約500kmだった。朝起きてビックリしたのは気温が3度だったこと。
というのも私はロッキー山麓にたくさんある湖の一つでで泳ぐのが夢であり
前日ペンティクトンに到着後、夢が叶って思い切り泳いでいたからです。
夕方の気温は分かりませんでしたがバイクでもTシャツで走った位だから
暑かったのは間違いありません。
バイクに乗ってのスタート時、サポートカーの温度計は気温5度を指して
いました。セーターを着てグローブも厚手の物にして震えながらの走行に
なりましたが道路は大きなワインディングの続く長い長い下り坂が続きます。
気温は徐々に上がり始め休憩をするたびにセーターを脱ぎ下着を脱ぎと
服装は徐々に薄くなって行きます。
平地になりバンクーバーが近づくに連れて気温は20度、25度と更に
上がり終点のバンクーバー市内では35度を示していました。
35度と行っても比較的乾燥しているのでジメジメした感じはしませんが
一日の気温差30度、考えられない温度差の体験でした。
6.良いなと思ったこと・・・アメリカで
アメリカのコンビニに寄った時のことです。
飲料水とか食べ物を買い支払いをしようとしたら小銭が数セント
足りないので紙幣を出してお釣りをもらおうとしました。
ところがレジの女性が小銭はいらないと言ってレジの横にあった
小銭のたくさん入った瓶の中から私の不足分を取り出して継ぎ足して
くれたのです。私は小銭を払わなくて済みました。
日本ではコンビニやスーパーのレジの横に○○募金とか○○○に
愛の手をとか書いて置いてあります。
私の寄ったコンビニはお客さんで小銭のいらない人達が瓶の中に
入れて帰る、後から来た人で小銭の無い人や釣り銭で小銭が多く
なるとき、例えば日本で503円の買い物に1000円札で払うとお釣り
が497円になりますが、そんな時に瓶の中から3円出して500円を
返す、そのように使っているそうです。
確かに○○募金も良いのですが、お客さんに対するサービスという
いうよりお客さん同士が小銭を融通しあうこのシステムはいいなあと
感心しました。
日本でも考えてみるといいかもしれません。
7.暴走族の兄ちゃん
ツーリング初日、例によって夜間走行です。
夜のフェリーを降りて走り始めしばらく走って自販機があったので
コーヒーを飲むために止まりました。時計を見ると午前2時30分、
コーヒーを飲んでタバコを吸っている時、独特のマフラー音を響かせ
ながら1台のシャコタン車が来て目の前に止まりました。
暴走族だ、まずいと思いましたが知らぬ顔をしていると降りてきた
若者の一人が開口一番「ウワー小父さんだ」と言い「一人寂しいように
見えたので話相手になってやろう」と止まったと言うのです。
「俺も若いときはバイクに乗っていた」、「年は幾つ」、「22」、「小父さん
の息子と同じだよ」など色々と話しました。
どこまで行くのと言うので、徹夜で走って徳島〜和歌山……夕方には
静岡の沼津に着くはずと言うとビックリしていました。
しばらく三人で話をしましたが暴走族も単独では話をしてみると普通の
青年でした。最後に気をつけてと言い、けたたましいクラクションを
鳴らし思い切り格好を付けた急発進でタイヤを鳴かせながら去って
行きました。
ビックリしてホッとしたひとときでした。
8.道路でごろ寝
私の特技は何処でもどんな場所でも寝られる事、それも短時間で熟睡できることです。
夏でも冬でも走っていて眠くなればバイクを止めてすぐに寝ます。
寝るのには高速道路であればサービスエリアが条件がよく何も言うことはありませんが
国道、地方道になると場所はたくさんあっても寝られる場所は限定されてきます。
考えてみたら今までに屋根付きのバス停、公園のベンチ、河川敷、芝生、草むらなど
色々な所で寝た思い出があります。
ある初秋、山間部の三桁国道を眠さをこらえて走っていましたが途中で我慢が出来なく
なりちょっと寝ることにしました。道幅は1.5車線で片側は深い谷、そして片側は山でしたが
ちょうど道路脇に大型車が駐車出来るスペースがあり、そこにバイクを止めてアスファルトの
上にゴロリと横になりました。
近くには人家も街灯もなく僅かな月明かりと星が見え、聞こえるのは川の瀬音と風に揺れる
木々の音だけでした。そんな場所の怖さとか気持ちの悪さより眠いのが先でアスファルトの
暖かさが気持ちよくてすぐに眠ってしまいました。
どのくらい時間が経ったのか分かりませんでしたが突然、車が一台止まり、すぐに発進したかと
思ったら今度はバックで戻ってきてバイクの横に止まりました。
強盗?瞬間的にそう思ったら心臓がドキドキし始め目もパッチリと醒めてしまいました。
車から降りてきた二人組?の第一声「大丈夫ですか?」………。
人家もない崖道でバイクの横に何も敷かずに横になっていたので病気か事故かだと思い気に
なったのでバックして声を掛けてくれたそうです。
後では大笑いになったのですが野外でごろ寝のよい思い出です。
9.ホテル・・・いろいろ・・・
バイカーに対するホテルの対応は大きな都市になるほど良かったと思う。
別項にも書いているが盗難や悪戯を防ぐためにホテルの玄関前でフロントから
見える場所や柵のある場所、車で囲まれた場所、照明の明るい場所、ITVで
監視できる場所など配慮してもらい安心して駐車できる事が多かった。
バイク乗りだからと言っても過去には断れることもなくずーっと来ていたが
今年初めて断られた嫌な思い出もある。
ホテル○○ルートは全国チェーンでもあり過去にも出張やツーリングで何度か
利用していてメンバーにも入っている印象の良いホテルだと思っていた。
今年のゴールデンウィーク、日光に行ったとき宇都宮市に宿泊する予定で
駅前に行ったらホテル○○ルートの看板が目に付き裏の駐車場に乗り付けた。
ほとんど車も駐車しておらず泊まれると思い相棒と二人でフロントに行った。
「バイクのお客様は訳があってお泊め出来ません」理由の説明もなしにこの
言葉の繰り返し、腹が立ったが文句も言わずに外へ出た。
前年、同じメンバーで長野に泊まったときホテルの対応の良さにその場で
メンバーになったのだが、この時は非常に気分が悪く二度と泊まらないと思った。
10.思い出のビジネスホテル
ある年の11月連休、京都の紅葉を見に行ったが泊まる所がない。何ヶ所も回ったが
すべて満室、仕方がないので大津市に行くがここもダメ、それならば翌日の目的地に
近い場所が良いと思い高速道に乗り彦根まで走るがここでも空き室なし。
彦根市の外れにあるホテルは空いているかもしれないと教えられそちらに向かう。
着いたのが19時過ぎだったが運良く空き室があり泊めてもらう事にする。
ドアを開けて部屋に入ると土間のような作りで敷居がありそこで靴を脱ぎスリッパに
履き替えて洋間に上がる。
バスとトイレ、洗面所は別々で独立しているし部屋の感じも良かった。
食事に行くときにフロントで非常に感じが良いねと誉めたら「ビジネスホテルであり
仕事や観光、長期のお客様に家庭の味のする間取りにしています」との返事が
帰ってきた。
確かにほとんどのホテルでは部屋に入っても靴を履いていても構わないしバス、トイレ、
洗面所はユニットになっていて狭いところが多いし殺風景な間取りが多い。
それに比べてこの時はホテルではなく旅館に泊まっているような感覚が味わえて
本当に良かった。
旅行雑誌のように「もう一度泊まりたいあの宿」みたいに「もう一度泊まりたいBH」
企画でもあれば迷わずにこのホテルを選ぶだろう。
11.大きなおにぎりをもらった話
鳥取砂丘を見て中国山地を津山、岡山方面に向かって二台で走っていた時の事。
黒尾峠に入る前に休憩をしようと道路脇のパーキングスペースに入った。数台の
車が止まっていたがその内の一台は若者が車外で弁当を食べていた。
しばらく休憩していたら、その若者が「おにぎりを食べませんか」と声を掛けてきた。
一度は結構ですと断ったが「一人で食べきれません、捨てるのも勿体ないのでお願い
します」と言われ傍に行ってみると干物を入れる紙函が三個ありそれぞれに大きな
おにぎりや卵焼き、梅干しなどがたくさん入っていた。
若者が言うには埼玉から一人でドライブに来て昨夕、泊まる場所がなく鳥取の海岸に
いたら老婆が寄って来て、話をしていたら自分の家に泊めて上げると言われ、泊めて
貰った上に、こんなにたくさんのおにぎりとおかずを作ってもらったということだった。
それならばと私と同行者はご馳走になったが初めてだったのはおにぎりの食べ方だった。
おにぎりは直径が10cm近い特大サイズで食べ方は紙箱に入っている干しワカメを
巻いて食べなさいと教えられたそうである。
干しワカメは先端から20cm程度、切ったヤツデの葉の様な形をしたものが数十枚
入っており、おにぎりを包んで食べたが非常に美味しかったし、おかずも一夜干しの
イカに渦巻き状の卵焼き、大きな梅干し、漬け物と豊富でツーリング中、外食ばかりで
食傷気味だった私達にとって非常に新鮮だった。
最後に若者からは食べさせて貰った上に御礼まで言われこちらが逆に恐縮した次第
だったが思いがけないご馳走に満腹になり気分の良い一日となったのは言うまでもない。